What is LSA?

近年、欧米では、Light Sport Aircraft(LSA)という、2人乗りで安価な小型航空機カテゴリーが普及しています。

LSAは、超軽量動力機(ULP)と軽飛行機の中間的なカテゴリーに属します。ULPは軽飛行機に比べてライセンスの取得が容易であり運用コストも安いことなどから世界的に普及が進みましたが、安全性や運用面で問題があり、米国ではULPの制度改正のための調査研究が行われました。一方、軽飛行機は航空機として幅広い運航が可能で安全性が確保されていますが、機体の価格や維持経費が高いことやライセンスの習得に時間や費用がかかるため汎用的とは言い難く、機体性能や飛行方式を軽飛行機に比べさらに限定して、安全性を確保しつつ低価格で入門航空機を楽しめる新たな航空機カテゴリーが求められていました。その結果、米国では、ULPよりは大型で安全性が高く、かつ安価な小型航空機を対象とし、パイロットにはSport Pilotという制度を与えて、プライマリ・カテゴリーの基準が設定されることになりました。また欧州では、ULカテゴリーを拡張する形で、機体およびパイロットの要件が与えられております。米国では2005年にLSAカデゴリーが規定されてから、2010年までに6528機の機体が登録されました。また、中国・韓国・インド・オーストラリア・東南アジアの各国においてもLSAの普及が進んでいます。

一方、日本国内においては、ULPは航空機カテゴリーからは外れ、飛行許可により限定的に使用されてきましたが、検査制度がないための不法改造や飛行許可を遵守しない不法飛行によって発生する事故が多く発生し、安全性の観点からこれ以上の発展は困難です。より高性能な機体であるLSAを飛行許可で運用するのは限界があり、海外同様の制度化が急務であると考えます。

欧州ではLSAに近いカテゴリーとして、UL(Ultra Light)があり、LSAとULは同型機で販売されているケースが見られます。ULはLSAに比べると制限が緩く、引込脚が可能などより高性能指向となっています。現在、これらのカテゴリーにおいて、推進装置の電動化が進んでおり、従来機のエンジン→モーター換装のみならず、電動機として登録、販売される機体も出てきました。電動機の最大の課題はバッテリー容量に比例する航続時間が短いことですが、バッテリー技術の飛躍的な向上によって、1時間を超える航続時間を有する機体も現れています。電動機の長所は、低騒音、ゼロエミッション、原動機周りの機構が簡素になるなどですが、何と言っても、運航コストが内燃機関に比べて圧倒的に安く、入門航空機としては極めて優れた資質を有しております。

当研究所では、LSAに準じる機体の設計・試作・評価、および国内/海外の運用や法整備の調査を通じ、このLSAカテゴリーを本邦に導入することを目指して研究を行っております。

 

   

 ULP,軽飛行機とのLSAの比較          LSA登録機数の予想

Definition of LSA

LSAカテゴリーに合致する機体の安全基準は、大型旅客機などに適用される国際民間航空機関(ICAO)による規定ではなく、主に米国試験材料協会(ASTM)によります。これにより、機体の製造、検査が飛躍的に安価となり、普及を加速させる要因になっています。

例えば、米国LSAの主な制限事項は以下の通りです。

1) 機体の制限

・最大離陸重量 : 1320lbs (600kg)以下

・最大速度 : 120kt (222km/h)以下

・乗員数 : 2人

・エンジン : ピストンエンジン1基

・プロペラ : 固定ピッチまたは地上調整ピッチ

・操縦席 : 与圧式でないこと

・着陸装置 : 固定脚

・失速速度 : 45kt (83km/h)以下

2) 運用制限

・昼間の有視界飛行のみ

・個人のスポーツ、レクリエーションとしての飛行に限る(但し、練習飛行は可能)

・機体のリース、販売が可能

・航空保安装備の義務付け

・航空保険の義務付け

・航空法に従った運航

 LSAの制限事項